失踪とは、所在・生死が長期間わからない、行方をくらますことである。
それらの失踪人(行方不明になった人)を法的に死亡したとみなし、財産などの処理を可能にする制度があり、これが「失踪宣言」(民法第30条以下)で、失踪人を抱える家族などを救済することが、大きな目的の一つです。


失踪宣告とは、生死不明者に対して、法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度です。

1.

普通失踪
音信不通後、7年以上生死不明の状態が続くと、死亡したものとみなされます。
2. 特別失踪
事件や事故戦争、船舶の沈没、震災などの死亡原因となる危難に遭遇し、その危難が去った後、1年間生死が分からなかった場合は、死亡したものとみなされます。
1. 申立て人
「失踪宣告」を申し立てできるのは、不在者の利害関係者(配偶者、法定相続人、法律上の利害関係者)に限られます。
ただし、債権者などは認められません。
2. 申立て先
不在者の従来の住所地の家庭裁判所
3. 申立てに必要な費用
収入印紙600円、連絡用の郵便切手、官報公告料
4. 申立てに必要な書類
・申立書1通
・申立人、不在者の戸籍謄本各1通
・不在の事実を証する資料(不在者の戸籍附表謄本)
・ 利害関係を証する資料
1. 申立て人が、その居住地を管轄する家庭裁判所に失踪宣告の申立てをすると、裁判所はそのことを公示催告します。
公示は、裁判所の掲示板・官報で行われ、普通失踪の場合は6ヶ月以上、特別失踪の場合は2ヶ月以上されます。
2. 公示の催告期間の満了するまでに不在者の生存が確認されない場合は、失踪宣言の審判が確定し公告され、本籍地の市町村長に通知されます。
3. 確定後は、不在者は法律上、死亡したものとみなされるため、不在者の財産などを相続処分できるようになります。
(特別失踪の場合は、事変や危難の去った時に死亡したものとされます。)
4. 不在者の生存が確定後に確認された場合は、「失踪宣告の取消」を申立て、審判が確定すると、失踪は取り消され、宣言そのものがなかったこととされます。
また、確定後に相続された財産などは本人返還されます。ただし、返還方法・返還額などについて例外は認められています。
《民法第30条「失踪宣告」》

(1)
不在者の生死が7年間分明ならさるときは、家庭裁判所は利害関人請求により失踪の宣言を為すことを得る。
(2) 戦地に臨みたる者、沈没したる船舶中に在りたる者、その他死亡の原因たるべき危難に遭遇したる者の生死が、戦争の止みたる後、船舶の沈没したる後、またはその他の危難の去りたる後1年間分明ならさるときはまた同じ。
《民法第31条「失踪宣告の効力」》
前条1項の規定により、失踪の宣告を受けたる者は、前条第1項の期間満了の時に死亡したるものとみなし、前条第2項の規定により、失踪の宣告を受けたる者は危難の去りたる時に死亡したものとみなす。
《民法第32条「失踪宣告の取消」》
(1) 失踪者の生存すること、または前条に定めたる時と異なりたる時に死亡したることの証明あるときは、家庭裁判所は本人または利害関係人の請求により失踪の宣告を取り消すことを要す。ただし、失踪の宣告後、その取消前に善意をもって為したる行為はその効力を変せず。
(2) 失踪の宣告によりて財産を得たるものは、その取消によりて権利を失うも、現に利益を受くる限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。


夫婦の一方から他方に対して、一方的に離婚を請求する場合は、協議離婚とは違って、「離婚原因」があることが必要です。この原因には、・不貞行為・悪意の遺棄・3年以上の生死不明・不治の精神病・その他婚姻を継続し難い事由があります。

民法770条第3項では、3年以上配偶者の生死が明らかでない場合は、離婚を可能としています。
夫が突然勝手に家出し1年以上が経ちますが、一切の連絡も無く、住んでいる場所すらわからない・・・。
そんな場合はどうしたらいいの?
「悪意の遺棄」理由に離婚できる。
上記のような場合は、配偶者の承認を得ることなく夫婦間の同居・協力・扶助の義務を怠っているということで“悪意の遺棄”(※「悪意の遺棄」とは、簡単にいえば、家族を捨ててかえりみないこと)として訴えることになります。

訴える前には、警察に捜索願を出したり、親友や友達に問い合わせするなどして、十分探したけど相手の所在がわからなかったことを証拠として取りそろえる必要があります。

離婚訴訟を提起する場合、通常は、家庭裁判所で調停をして調停が成立しない場合に、はじめて地方裁判所へ離婚訴訟を提起することができますが、相手が行方不明者の場合は、調停ができませんので、調停なしで離婚裁判を起こすことになります。

裁判所は、裁判所の掲示板に一定期間訴状を提示して、訴状が相手に送られたとみなし、提出した証拠を基に審査・裁判を行い判決の後に離婚が成立します。判決が出るまでは、短期間で行われます。
夫が行方不明になり、3年以上が経ちますが、一切の連絡も無く、住んでいる場所すらわからない・・・。
そんな場合、どうしたらいいの?
「3年以上の生死不明」なら、離婚できる。
夫婦の一方が行方不明者の場合、婚姻関係を解消するには、行方不明を理由として、失踪宣告または離婚という方法があります。

行方不明の夫名義の財産が残されている場合は、相続が開始するという点で、失踪宣告の方がずっと有利になります。離婚してしまうと、夫の財産を継続することはできなくなります。

離婚を希望するのであれば、「離婚原因」として「配偶者の3年以上の生死不明」が該当しますので、質問1.と同じように、配偶者が行方不明ですから、家庭裁判所での調停は不要で、直ちに地方裁判所に離婚訴訟を提起することができます。

失踪宣告の制度を利用する場合であれば、通常7年間経過する必要となり時間がかかりすぎますし、宣告後、失踪者がいきていたことがわかった場合、前の結婚が復活して、重婚になる場合もあります。
ただし、地震などの危難にあって生死不明になった場合は、1年経過すれば、失踪宣告できます。
夫が行方不明になり、もう7年以上連絡が無く、生死不明なのですが・・・。
そんな場合、どうしたらいいの?
生死不明7年以上であれば死亡と同じ。
生死不明状態が7年以上続いた場合は、家庭裁判所に失踪宣告の申立てをすることができます。

失踪宣言が出されると、配偶者から最後の連絡があった時から7年間を経過した時点で、この宣告を受けた人(生死不明の人)は、死亡した人として扱われるので、婚姻関係は自動的に消滅します。

失踪宣言は、法律上不在者を死亡とみなすだけであって、現実にその者が生きていれば、その者から失踪宣言の取消を請求できます。


生死不明者についてその利害関係者の請求により、家庭裁判所が失踪宣告をします。失踪宣告後、届け出ることにより、生死不明者を戸籍上死亡とすることができます。
失踪届出後、生死不明者が事実上生存していたときは、失踪届取り消しの審判後、失踪届により戸籍上復活させることができます。
詳しくは、届出する戸籍係でご相談ください。

(1)失踪宣告届

届出期間
届 出 地
届 出 人
添付書類
○審判確定日から10日以内
○失踪者の本籍地又は申立人の所在地
○審判の申立人
○審判の謄本及び確定証明書
 ・市外に本籍地がある場合は、戸籍謄本
(2)失踪宣告取消届
届出期間
届 出 地
届 出 人
添付書類
○審判確定日から10日以内
○失踪宣告を取消された人の本籍地又は審判の申立人の所在地
○審判の申立人
○審判の謄本及び確定証明書
 ・市外に本籍地がある場合は、戸籍謄本


従来の住所又は居所を去り、容易に戻り見込みのない者(不在者)に財産管理人がいない場合に、家庭裁判所は、申立てにより、不在者自身や不在者の財産について利害関係を有する第三者の利益を保護するため、財産管理人選任等の処分を行うことができます。
このようにして選任された不在者管理人は、不在者の財産を管理、保存するほか、家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で、不在者に代わって、遺産分割、不動産の売却等が行えます。


(1)
申立て人
利害関係人(不在者の配偶者、相続人にあたる者、債権者など)、検察官
(2) 申立先
不在者の従来の住所地の家庭裁判所
(3) 申立てに必要な費用
収入印紙600円、連絡用の郵便切手
(4) 申立てに必要な書類
・申立書 1通
・申立人、不在者の戸籍謄本 各1通
・財産管理人候補者の戸籍謄本、住民票 各1通
・不在の事実を証する資料(不在者の戸籍附票謄本など)
・利害関係を証する資料
・財産目録、不動産登記簿謄本 各1通